インスタンス(いんすたんす/instance)
インスタンス」は、オンラインゲームの実装の一形態。
FFXIVでは、クエストで「インスタンスに移動しました」というメッセージを目にしたことがあるだろう。

オンラインゲームの特徴は「一つの世界を共有する」ことであるが、これを部分的に否定することで様々な利便性を得ようとするものである。

非常に大雑把な説明だが、「同時性」が失われる替わりに、「負荷軽減」、「デザインの自由度の向上」が得られる。

インスタンスは、マーケット(リテイナー街)のイメージに近い。

マーケットは各ストリートが「別の場所」という設定であるが、実装上は「全リテイナーが一箇所に集めた場合の問題をインスタンスとして解決したもの」と考えて良いかも知れない。

同時性が必要な状況、必要でない状況

2人の冒険者が待ち合わせをして、2人とも同じ場所に到着したら、よほど目が悪くなければ2人は会うことができるだろう。
「同時性が失われる」というのは、そういった前提が失われるということである。
インスタンスが採用されたゲームでは、同じ時、同じ場所にいるはずの2人が互いに、見えず、聞こえず、触れないといったことが起こり得る。

「待ち合わせ」では同時性が問題となる。
一方で、「狩り」の場面では、敵と自分、あるいは自分のパーティメンバーだけがいればいい。
むしろその方が都合がいい状況もありうる。

ゲームの仕組みにインスタンスを採用する場合、「同時性が問題となりにくい場所や状況」が選ばれる。

街にインスタンスを取り入れたゲームは実際にあるが、「/sayは届かないが/tellは届く」、「インスタンス間の移動が明示的に行なえるコマンドを用意する」といった対策が採られている。

クエストのインスタンス

FFXIVでは各国のオープニングの最初の戦闘はインスタンスで行なわれる。
このため、プレイヤーであれば誰もが一度はインスタンスという言葉を目にし、体験していることだろう(忘れているかどうかはともかくとして)。

クエストのインスタンスは、例えばオープニング最初の戦闘であれば1プレイヤーに1インスタンスが用意されているものと思われる。で、なければ、戦闘開始したとたん、ほかのプレイヤーが敵を倒してしまうかも知れない。

一方、オープニングの戦闘後、冒険者ギルドへ行くまでの部分(リムサ・ロミンサであればフェリー・ドックのシーン)では他のプレイヤーを目にした者が多いのではないだろうか。
以後のクエストでも、例えば十二跡調査会はインスタンスとなっているようだが、ここでもタイミングが合えばほかのプレイヤーを見かける機会がある。
これらのケースでは、同じクエストでは他のプレイヤーとインスタンスが共有されていることになる。

明確な意図があって他のプレイヤーと同じインスタンスを使うようになっているのかは不明だが、「同時性が問題となりにくい場所や状況」であれば同じインスタンスを使うというポリシーとなっているようだ。

同じクエストに何百人も同時アクセスした場合にインスタンスは1つが共有されるのか、複数となるのか、複数の場合パーティメンバーは優先的に共通のインスタンスを割り当てられるのかは不明である。

インスタンスダンジョン

インスタンスダンジョンは「同時性が問題となりにくい場所や状況」として、
  • パーティでのダンジョン攻略中は、パーティメンバーと敵だけいれば「いい」

という想定を行なったデザインであると考えられる。

  • ダンジョン探索中に他の冒険者と出会って意気投合して……
  • パーティの大ピンチにどこからともなく助っ人が現れ……

といった、それはそれで魅力のある可能性を捨てる替わりに、

  • 一度倒したら二度と沸かないような敵や、敵が沸く仕組みを明示しやすく、攻略感が得られる
  • ダンジョンの状況が単純化されるので「ザコと7回ばかり戦ってダンジョンの雰囲気がわかったころに、ザコ戦で学習した作戦の応用が利く中ボス戦、倒すと秘密の扉が現れて……」といった通常の国産RPG的なユーザー体験が作りやすい
  • カウントダウンでダンジョンが崩落する!といった(FFでありがちだがオンラインでは無茶な)演出も可能になる。
  • 通信量が激減する
  • 横取り、取り合い、MPKといった問題が避けられる

といったメリットが得られるものと考えられる。

関連項目

レイドダンジョン】【FF11:インスタンス