エッグハント/タマゴの殻(えっぐはんとたまごのから)
公式の読み物として旧the Lodestoneで紹介されていた読み物、「週刊レイヴン」の一つ。
the Lodestoneは閉鎖したため、現在は読むことが出来ない。

エッグハント/タマゴの殻 (2012/04/11)

黒衣森の木々の1本、そのまた無数に空いたウロの1穴から、鋭いクチバシで一片の真実をつつき出す「週刊レイヴン」主筆のグッドフェローです。
今号では、無事に閉幕を迎えた奇祭「エッグハント」について、総括をお届けしましょう。

予定にない事件

奇祭「エッグハント」は、スプリガンによる飾りタマゴの強奪という「予定された事件」を乗り越え、ついに閉幕を迎えた。だが、その裏では「事件」を演出した当の本人たちでさえ、予想していなかった珍事が起きていたのである。

エッグドリーマーたち祭りの主催者は、その開催に先駆けて、近東都市国家ラザハン」より、ドードーのタマゴを大量に取り寄せていた。もちろん、飾りタマゴを作るためである。しかし、仕入れを担当した商人の証言により、タマゴの中に「ドードーのものではない別の生物のタマゴ」が混入していたらしいことが発覚。人々は「謎のタマゴ」を丹念に探し出し、大切に保管することにしたのである。

ところが、祭りの最終日の朝、人々が目にしたのは、砕けたタマゴの殻であった。

ある衛兵の証言

「謎のタマゴ」の正体は、一体何だったのだろうか?
この疑問の答えを求めて、本誌編集部は目撃者探しに奔走した。その結果、ひとつの重要証言を得た。
証言者は、鬼哭隊に所属するある隊士。彼は前日の夜半過ぎに歩哨の任務を終えた後、紅茶川のほとりで月夜を見上げながら、ハチミツ酒を楽しんでいたとのこと。そして、いつの間にかまどろんでしまい、目覚めたときには日の出間近になっていたという。

そのとき彼は見た。朝靄の中を、子亀がゾロゾロと列を成して歩く姿を……。黒衣森にはいないはずの生物を見て、思わず「カメェェェッー!」と素っ頓狂な叫び声を上げてしまった彼の目の前を、子亀たちは通り過ぎ……そして紅茶川を下って、街の外へと消えていったのだとか。

彼が語るこの話は、酔っ払いの戯言なのか、真実の証言なのか……その判断は読者諸兄にゆだねるとしよう。なお、最後にひとつだけ確かなことを記しておく。「ラザハン」があるサベネア島は、巨大陸亀が生息していることで有名だという事実だ。

オリバー・グッドフェロー

関連項目

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