エッグハント/失われた卵(えっぐはんとうしなわれたたまご)
公式の読み物として旧the Lodestoneで紹介されていた読み物、「週刊レイヴン」の一つ。
旧the Lodestoneは閉鎖したため、現在は読むことが出来ない。
旧the Lodestoneは閉鎖したため、現在は読むことが出来ない。
エッグハント/失われた卵 (2011/04/26) 編
黒衣森の木々の1本、そのまた無数に空いたウロの中の1穴から、鋭いクチバシで一片の真実をつつき出す「週刊レイヴン」主筆のグッドフェローです。
突然ですが、注目を集めていた奇祭「エッグハント」が思わぬ事態を迎えた模様。緊急スクープでお届けしましょう。
●消えたアルコンエッグ
奇祭の主催、ジリ・アリアポーさんが語る十二賢者の再臨が迫り、信じる読者も眉に唾を塗った読者も、指折り数えてその日を心待ちにしていたことだろう。
だが、そんな折も折、大事件が発生した。昨夜、保管庫から飾り卵「アルコンエッグ」が忽然と消えたというのだ。
早朝、ジリさんが気づいた時には、すでに錠前が壊され、卵は何者かによって全て持ち去られた後だったという。
そして、ツィギーという名のスプリガンもまた姿を消しているようなのだ。
●盗難? それとも自作自演?
そもそも、なぜ魔物が祭りを手伝っていたのだろうか?
悲嘆にくれるジリさんから聞き出した話によれば、ことの成り行きはこうだ。
祭りの開始を遡ること3日。どこから聞きつけたのか、2匹のスプリガンが彼女の前に現れ、自発的に卵を集め始めたそうだ。
「賢者様が遣わされた使者に違いない!」
そう解釈したジリさんは、すっかり信用してしまったのだという。
錠前についた歯型などの状況証拠から、卵泥棒の主犯がツィギーというスプリガンであることは、ほぼ間違いないだろう。
だが他方、ディギーとかいう、もう一匹のスプリガンは、卵の破片の掃除など今日も変わらぬ様子でマジメに働いていた。なぜ彼らは祭りに協力したのだろうか? そして、なぜ今になって一匹だけが裏切ったのだろうか? 妙ではないか?
また、壮大に広げたウソが怖くなったジリさんの自作自演ではないか、という口さがない者がいることも、公平な立場から書きとめておきたい。
今後も、本誌はこの事件を徹底取材するつもりだ。
オリバー・グッドフェロー